この町に住んでから、電車の窓から見える大きな看板が気になっていました。ふと思い立ったので、散歩のつもりで行ってみることにしました。
善行駅西口を出て徒歩7分。閑静な住宅街の中に、ひときわ趣のある一軒家がありました。
…ひっそりとした雰囲気で、正直ちょっと緊張してしまいます。
でも、勇気を出して扉を開けたら、ステキな宝探しと面白いおしゃべりにすっかり夢中になってしまいました!
日常使いできる古道具
店内には、日本全国から集められたたくさんの古道具が並んでいます。
「友だちの家に遊びに来たみたいに、自由に見てください」と話しかけてくださったのは、笑顔がステキな優しいご夫婦。20年以上、このお店を営んでいます。
骨董品や美術品ではなく、日常使いできる古道具を選んで置いているそう。旅館や料亭で使われていそうな食器もあります。
ひとつひとつをゆっくり見ていると、実際に家で使っている風景が想像できます。
「これは目玉焼きに。こっちはポテトサラダに合いそう」
いつものおうちゴハンが、ちょっとだけ背筋が伸びるていねいなものになりそうです。
ステキな戸棚に、ガラスの器が並んでいました。
美しい切子や色ガラスなどは眺めているだけでも楽しくて、あれこれ集めたくなってしまいそうです。
アイデア満載のテラス
明るい光が入るテラスでは、古道具と植物が仲良く同居していました。
ステンドグラスの前には大きなテーブルがあって、まるでカフェのようなステキな空間です。
このテーブルも廃材をリメイクして作ったもので、天板と脚は、もともと別のものだったそう。
希望があれば別のパーツと組み合わせて作り直してもらえたり、気に入ったパーツだけを購入したりもできますよ。
また、こちらのガーデンテーブルに組み合わせたイスは、小学校で使われていたものでした。
ヤンチャな子どもたちのために丈夫に作られたからか、時間が経った今でも全くガタつきません。
背板には製作した工房の印もあります。昔は学校のイスや机も、その地域の工房が作っていたので、土地ごとに違うデザインだったそうです。
だから、工房の印を見ると「あ、あの地域の小学校で使われていたイスなんだな〜」と、思いを馳せられるのも古道具の魅力だと教えていただきました。
古い階段も生まれ変わって、ステキな棚になりました。
時間をかけてしっかり乾かした木は反りもなく、水にも強いといいます。
これなら植物を置いても安心ですね!
お庭の柱に掛かっていたおしゃれな鉢カバー。
鉢を外したら、なんと男性用トイレでした!
お金持ちのおウチのために作られたトイレだそうですが、まさかこんなふうに生まれ変わるとは驚きです。ちなみに新品未使用品です。ご心配なく(笑)。
常識にとらわれない自由な発想をもつご主人。お話を伺うだけでもとてもおもしろくて、すっかり惹き込まれてしまいました。
受け継がれる道具たち
こちらのお店では、専門サイトから全国の古道具を厳選して仕入れ、独自にリメイクして販売しています。
希望に合わせて色やサイズのリメイクをしてもらえるので、無理なく現代の生活に取り込めます。みんなとは一味違う、こだわりの生活は個性的で本当にオシャレです。
長く大切に使われてきた道具たち。古くなったというだけで無くなってしまうのはもったいないですよね。古道具の中には、現代ではなかなか手に入らないような木材や、職人さんの技術が光る家具もたくさんあるそうですよ。
質の良い道具たちを、今の生活に合うように作り直して受け継いでいくのは、文化の継承でもあり、環境を守ることにも繋がるでしょう。
すてきな古道具たちと、アイデアに出会えるお店『蝉丸』。ぜひみなさんも、自分だけの宝物を探しに出かけてみませんか?
和のアンティーク 蝉丸
住所:神奈川県藤沢市善行2-6-8
アクセス:小田急江ノ島線善行駅西口より徒歩7分
TEL:0466-84-2502
営業時間:10:00-17:00
定休日:火曜日(仕入れの都合で臨時休業の可能性があるので、電話で確認をおすすめします)