辻堂の道の駅?八百屋&フルーツサンド専門店「8sai(はっさい)」

2021年6月、辻堂駅の南口に八百屋さん(青果店)がオープンしました。
そこには普通の八百屋さんと少し違って、初めて目にするような野菜がいつも並んでいます。
しかも、奥には魚の干物や肉が置いてあったり、ジュースや駄菓子の棚が充実していたり、なんだかとても不思議なところなのです。

さらにこのお店、知る人ぞ知る絶品フルーツサンドの専門店でもありました!

今回ご紹介したいのは、そんな「八百屋さん」という概念を軽く飛び越えてしまっている、「8sai(はっさい)」という青果店です。

辻堂駅南口から徒歩3分!

8sai辻堂店(本店は茅ヶ崎)の外観は、こんな感じ。

青果店らしからぬアイスクリームのオブジェがあったり、「Cafe」ののぼりが立っていたりしますが、建物だけならカフェかと思うおしゃれさです。

(※奥の白い建物が辻堂駅、斜めの屋根は南口の階段で、すぐ裏手を東海道線が走っています。)

しかし、そこはやっぱり青果店で、入口にはお手頃価格の野菜や果物が道行く人を誘います。

中に入れば、選りすぐりの三浦や鎌倉の野菜たちが来店者を出迎えます。

(※入荷したばかりの三浦野菜。日差しが強くて分かりにくいですが、べっぴんぞろいです。)

初めて8saiに来たときは、「ハンサムレタス」というバレーボールほどもある細身のレタスが獲れる時期で、思わず買って帰りました。
今年は少し出遅れているそうですが、「これから入ると思います」と店員さん。
他にも赤い大根や茎が紫色の水菜など見たことのない野菜がいっぱいで、ついついじっくり見入ってしまいます。

そして店内はこんな感じ。
もちろん見慣れた野菜もたくさんあり、どれもつやつや元気いっぱいです。

野菜・果物以外もあって便利で楽しい!

でも、前の写真。青果店にしてはちょっと不思議ではありませんか?

まるでコンビニのように奥に調味料や飲みものが並んでいますし、その向かいのショーケースには肉と干物が置いてあります。

(※小田原の老舗「山安」の干物。直販店と同じ待遇で売られています。)

そして、窓側にはカフェスペースがあり、

そのおしゃれな景色の反対側には、昭和の駄菓子屋の風景があるのです。

(※駄菓子のラインナップは、スーパー並みに充実しています!)

コロナ禍オープン!コンセプトは「駅前にある道の駅」

なぜ野菜や果物スペースを削ってまで、こんなに他の商品を置いているのでしょう?
この日、偶然8saiの松向(まつむこ)社長さんにお会いし、その理由を聞くことができました。

実は、8saiを運営しているライスネットワークは、もともと業者向けのお米屋さんで、スーパーや外食チェーンなどにお米を売っていたのだとか。

(※本業は今も健在!店舗入口には、全国から選び抜いたお米が並んでいます。しかも安~い!)

それが、2020年1月に始まったコロナ禍のあおりで売上げが激減し、生き残りをかけて始めたのが青果店「8sai」だったというのです。

ヒントになったのは、地方の青果売り場でした。
米の消費が落ち込む中、比較的にぎわっていたという青果を中心にすえ、果物を扱う強みも活かして自家製スイーツをプラスしました。
そして、「駅前にある道の駅」のコンセプトでいろいろ工夫を重ねるうちに、今のスタイルになったそうです。

「でもね、当時は笑いごとじゃなかったのよ」と松向社長。
社長の語り口はとても魅力的で、ずっと聞いていたいほどでしたが、このときばかりは一瞬真顔になりました。

ですが、パンデミック直後の2020年8月にはすでに茅ヶ崎に青果店「8sai」1号店を立ち上げて、さらに翌年6月には辻堂店をオープンさせているのです。
その決断力とスピード感には、ただただ驚くばかりでした。

居心地がよく、駅からすぐの便利な場所

そうやって生まれた青果店「8sai」の基本の柱は、もちろん「社長自ら買い付けてくる三浦・葉山・鎌倉などの野菜と果実」そして「こだわり抜いた生クリームのフルーツサンド」の2つです。

でも、さらに「いいな」と思ったのは、実はこのお店の心地よさでした。

私がコーヒー待ちでカフェに座っていたとき、高齢の女性がひとり来店されました。
杖をついて買い物が少し不便そうなご様子でしたが、店員さんがさりげなくそばへ行き、重いみかんを持ったり、「こっちのがいいよ」と取り替えたりしています。

たまたまお客さまが少ない時間だったからかもしれませんが、店員さんたちの醸し出す場の雰囲気は、始めから終わりまでとても自然で柔らかでした。

また、しばらくすると別の高齢女性がソフトクリームを左右の手に持ち、カフェスペースに入って来ました。
そして、先に座っていたお連れの方とアイスを食べ、あとから来たコーヒーを楽しそうに飲んでいました。

おそらくお見送りだったのでしょう。
ここなら高齢者でもホームに行くまで5分とかかりませんから、きっとぎりぎりまで話し込み、ゆっくり別れを告げることができたのではないでしょうか。

「あぁ、ここでは高齢者でも自分のペースで買いものやお茶が楽しめるんだ。」
足をくじいてしばらく自由に動けなかった私には、それがとても大きく映りました。

カフェでコーヒーとフルーツサンドを食べながら見つけた、8saiのもうひとつの顔でした。

あの絶品フルーツサンドが販売休止?!

ところが、です!
そんな居心地のいい8saiの二大看板のひとつ「フルーツサンド」が、「11月18日(土曜日)からしばらく販売を休止します」というのです。

これには衝撃を受けました。
なぜなら、生クリームが苦手な私が、唯一「毎日食べたい!」と思ったフルーツサンド。
これからちょくちょく食べに来ようと思っていた矢先だったのですから。

理由は最近の物価高騰だとか。
またもや社会規模の大波が8saiを襲ってきたのです。

でも、あの社長の会社ですからね。
「まだまだいろいろ改良したい!」と、進化宣言をしておられるあの松向社長の会社ですから、きっと解決の糸口を超高速で探っているに違いありません。

しかし、当分のあいだ生クリーム系のスイーツはお休みとはいえ、ソフトクリームや焼き菓子は今後も変わらず楽しめますし、コーヒーもとてもおいしいのです。

もともと駅前のコンビニやスーパーとしての役割も果たしていますし、珍しい野菜やメーカー直送のおいしい干物などが欲しいときには、それこそ8saiの出番です。

そして、もし辻堂駅付近で休憩したくなったときには、ぜひここ青果店「8sai」を思い出してみてください。
気持ちがホッと緩む瞬間をきっと味わえると思いますよ。

8sai 辻堂店
住所:神奈川県藤沢市辻堂1-1-5
アクセス:JR東海道本線「辻堂駅」南口から徒歩約3分
営業時間:10:00~20:00
電話番号:0466-47-9031
定休日:無休

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。